災害廃棄物を東京で焼却することへの疑問と考え直すことを求める決議

 災害廃棄物は岩手、宮城、福島の3県で約2400万トン、内可燃ごみは700万トンにも及びます。環境省は4月に全国の自治体に災害廃棄物の受け入れを打診し、5月には全国500以上の自治体が受け入れ可能と回答をしました。しかし、首都圏では23区の水道水から放射能が検出され、5月には下水汚泥の焼却灰から高濃度の放射能がでて、7月には一般廃棄物の焼却灰からも放射能が検出され自治体の通常業務に大きな影響が出てきました。そして各地で災害廃棄物を受け入れ焼却することへの疑問の声が上がり始めました。
 東京では当初、主に宮城県の可燃性廃棄物などを3年間で50万トン、今年度で16万トン受けいれる予定で話が進んでいました。多摩地域ではその内3年間で16万トンを引き受けるということでした。
 しかし、9月28日になって都民の声を聞くこともなく岩手県宮古市の災害廃棄物1万1000トンを受け入れると発表しました。災害廃棄物を被災地から搬出する際や民間施設で焼却する際には、放射性物質の濃度などを測定するとしています。このため、都は11月中に1000トンを先行的に受け入れ、汚染状況などを検証した上で、来年3月までに残る1万トンの処理を行う方針で当初案より少なくなっています。
 岩手県で7月に行った災害廃棄物の放射性物質濃度はセシウムの合計値(134Cs+137Cs)68.6Bq/kgでした。これがどういう素材なのかは分かりません、三多摩各地では剪定枝の堆肥から251〜580Bq/kgのセシウムが検出されているというのに、宮古市の災害廃棄物のどの部分を測定したのでしょう。9月に災害廃棄物を通常のごみに27%混ぜて燃やして焼却灰の放射性物質濃度が133Bq/kgと実験結果が出ています。三多摩でさえ、通常の廃棄物を燃やした飛灰から270Bq/kg〜3400Bq/kgのセシウムが検出されています。どのような実験をされたのでしょうか。

 三多摩では受け入れる清掃工場は7つ(八王子市戸吹清掃工場、町田市、日野市、柳泉園組合、西多摩衛生組合、多摩川衛生組合、多摩ニュータウン環境組合)の清掃工場とされていましたが、今になって不公平にならないようすべての清掃工場で焼却を検討されているようです。災害廃棄物に付着する放射能の問題が大変重要な課題となるはずです。これまでに行われた測定では、各自治体の清掃工場ごとにセシウムの値が大きく違っており、M市では大変高く、H市では飛灰の値が主灰よりも低くなっていて理由が分かりません。つまり清掃工場の排ガス防止の機能がまちまちであることが考えられ、今後の測定を待つ必要があります。

 さらに、災害廃棄物焼却問題は放射性物質を三多摩地域に、最終的には日の出町に持ち込むことになります。日の出町に集められる焼却灰で造られるエコセメント工場での周辺環境へ与える問題、公共下水道への高濃度の放射性物質の放流も問題です。
 三多摩地域は、福島から小さなお子さんを持つ家族が避難してきておられます。こうした地域にさらに放射能汚染が広がる可能性のある災害廃棄物を東京で焼却処理することに不安を感じています。
 地域住民の声を聞くことなく決められた今回の決定を考え直していただくよう決議します。

2011年10月8日 「震災と原発によるごみを どう扱うべきか」 講演会(日の出の森・支える会主催)
参加者一同