●「多田謡子反権力人権賞」受賞団体および個人リスト
●日の出の森・トラスト運動の受賞理由





「多田謡子反権力人権基金」 設立趣意書
1989年6月13日
 私は私の敵と闘いる続けるわ ―――――と言い続けて、16年がたったような気がします。
 その間私の敵は、何度も、見え隠れしましたが、敵は敵。
 またのんびりと、闘い続けたいと思います。

 多田謡子が、1986年の年賀状をこのメッセージと共に発信してから、既に3年半が経ちます。この年の12月、多田謡子は闘い半ばに突然不帰の人となってしまいました。
 自分の人生に対してひたむきであった多田謡子は、自分自身を厳しく見つめ常に自分にとっての敵を見極めつづけていました。多田謡子の敵は、社会であり、親であり、学校であり、警察であり、そして又夫でもありました。そして、的を見極め模索する過程は、多田謡子にとって自分の終生の生きる方向を発見する過程であり、真に共感し、連帯する人間関係を発見する過程でもありました。

 多田謡子の弁護士としての活動は、あらゆる差別、抑圧を憎み、国家権力による弾圧を弾劾するものでした。人間的共感に満ちあふれた多田謡子の弁護活動はあらゆる権力、あらゆる不正と闘う多くの人々の信頼を克ち取ってゆきました。多田謡子の弁護活動が本格化しようとするまさにその時、突然の死が彼女を襲ったのです。この死を何より無念に思うのは多田謡子自身ですが、多田謡子の弁護活動を知る者たちの深い喪失感も筆舌に尽くし難いものがあります。

 「多田謡子反権力人権基金」は、多田謡子が弁護活動の中で実現しようとした国家権力をはじめとしたあらゆる権力に対して人権を擁護する闘いを今後も引き継いで闘い続けるために設立されます。あらゆる権力に対して人権擁護のために闘った団体、個人を毎年顕彰及び援助することによって、多田謡子が真底求めた平等で自由な社会を一日も早く実現してゆきたいと考えます。多田謡子の人生及び弁護活動に共感される多くの方々が、「多田謡子反権力人権基金」に参加されるよう切に希望するものです。