行政代執行納付命令取消訴訟ー判決報告
(2006年4月28日)

 行政代執行納付命令取消訴訟 一部勝訴!

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東京地裁(大門匡裁判長)での一部勝訴,1100万円を返還せよ!(4月28日) 

 東京都石原都知事は日の出の森・トラスト地を奪うために2000年10月に行政代執行を 行いました。この間、全国の地権者にその費用の差押えが続いています。この裁判は トラスト運動の共同代表のお一人、故三輪啓さん(持分が最も多かった方)が差押え られた分の1600万円は不当な算定であり取り消すように求めた裁判です。

 この裁判で昨日(2006年4月28日)一部勝訴の判決がありました。土地収用法102条 は、「土地又は当該土地にある物件を占有している者」に対して当該物件の移転等を 義務づけているところ、三輪さんが「風の塔」について、土地収用法102条の「占 有」を有していたと認めるに足りる証拠はないという認定をした事です。東京都が差 押えた金額が、本来算定されるべきものでは無いことがはっきりしました。 結果として480万円は認めるが、東京都は約1100万円を返還しなければならないとい う判決です。

  また、結論には影響しませんでしたが、判決書11頁が「弓野(東京都財務局の課 長)が、 (平成12年10 月)10 日午後2時ころ、本件土地正面において、本 件共有者らの求めに対して証票を呈示しなかったのは、行政代執行法4条の定めに違 反するといわざるを得ない。」としたことも、当然のこととはいえ、評価できると思 います。

● この判決にも問題点はある

 しかし、この判決には、たくさんの問題があることも事実です。

@ 第一に、上記証票の呈示の点ですが、10日午前9時ころ、馬引沢峠を封鎖したの は処分組合の判断であり、これは代執行行為ではないから、証票の呈示は不要である とした点、(判決書11頁)

A 第二に、囲繞地(トラスト共有地)通行権の妨害を認定しなかった点(判決書1 2頁)

B 第三に、警備員によるNさんに対する有形力の行使は、代執行行為を円滑かつ迅 速に遂行するためのやむを得ない範囲の実力行使であったということができるとして いる点(判決書15頁)

C 第四に、都知事が起業者である処分組合に行政代執行を委託したこと、さらには 処分組合が株式会社ランド・コンサルタントに行政代執行を再委託したことを容認し た点(判決書17頁) 等です。事実関係を知る者の立場からすると、噴飯ものです。

● 今後の課題  
 裁判の相手方、東京都は今後どういう対応をするか不明ですが、控訴するとなると 裁判は続きます。引き続きご支援、傍聴をお願いいたします。 現段階では判決文を仔細に読んだわけでもなく、弁護士さんたちの統一した見解もいただけていないので、この影響については明確に書くことは出来ませんが、一部勝訴 です。詳細は後日連絡いたします。   

(なお、今回の大門裁判長は同日に判決があった「多摩ニュータウン環境組合」が建 設したごみ焼却施設の談合の裁判で、談合の事実を認定し建設を請け負った日立造船 に12億円の返還を求め、同時に同組合の管理者多摩市長が損害賠償を請求しないのは 違法という判決を下しています。)