2000年10月13日

東京都知事 石原 慎太郎殿
    
                                            日の出の森・トラスト運動
                                            共同代表  三輪 啓
                                               同   標  博重
                                               同   大橋 光雄

1 違法な代執行を中止し現状を回復せよ
 貴職は、私たちの再三にわたる異議申立て、抗議・要請、各種の申入れにも拘わらず10月10日より、西多摩郡日の出町の東京都三多摩地域廃棄物広域処分組合二ツ塚処分場計画地内にある私たち「日の出の森・トラス津運動」地域者共有の、いわゆるトラスト地に対して違法な行政代執行を強行し、敷地内にいた私たちを強制的に退去させて、私たちの地上物件の移転工事と称する作業を開始しました。

 そもそもこの代執行は、すでに私たちが提出した上記各文書で幾重にも指摘の通り、行政代執行法に違反するものであります。このことは現地においても、共同代表の大橋から繰り返し代執行責任者に拡声器で主張し続けましたが、全て完全に無視して強引な工事が進められた訳であります。
 私たちは、貴職のこのような違法で横暴な権力行使に対し、激しい憤りと耐えがたい悲しみを覚え、ここに改めて厳重抗議するものであります。今からでも直ちに代執行を中止して貴職らの違法状態を解消し、トラスト地の原状回復を行なうよう強く要求いたします。

2 現地における違法行為に抗議する
(1)代執行責任者の証票の提示拒否(行政代執行法第4条違反)
 10月10日午前9時頃、代執行責任者はトラスト地南側数十メートルの位置より、予め周辺に多数の雇いガードマンを威圧的に配列したうえで、トラスト地内の私たちに向かって拡声器で代執行宣言を発した。同時に横幕やプラカードでも継続的に代執行宣言を表示した。
 このころ、囲繞地であるトラスト地への唯一の通行路の馬引沢峠入口を、東京都職員が代執行宣言が発せられたことを理由に封鎖した。以後、トラスト地へ入るため通行を求めるトラスト地権者の通行権を妨害し、実力で通行させなかった。これは代執行実施中だからと言うことで、東京都が宣言の瞬間から代執行を現地で実行していることを明白に表示したものである。
 しかるに、その入口でトラスト地権者が東京都職員に対して、行政代執行法第4条で義務付けられている「証票」の提示を求めたのに、これに応えなかった。その後トラスト地南側で、代執行責任者が「代執行を開始したので敷地内から退去しなさい」と言う発声を繰り返し、実際にも工事が行なわれた。そこで共同代表の大橋が、代執行責任者3人に対して「証票」の提示を求めた。しかしこれを完全に無視して工事が続行されていくので、再三再四にわたり「証票」の提示を督促したが、ついにこの日「証票」が提示されることはなかった。
 しかも代執行責任者は途中で、「証票の提示は必要ない」と言い放ち、その後しばらくして、今度は「証票は処分場の正面入口で提示する」などと、全く法律無視の暴言を拡声器で発した。処分場正面入口とは、トラスト地から徒歩2時間以上を要する位置にあるのであって、代執行責任者の発言は悪質な法律違反の上に全く無茶苦茶な横暴さである。
 この件に関して、第1日目終了後の代執行責任者の記者会見で、「今日のは代執行の準備工事だから、証票の提示はいらない」と言う意味の説明がなされた。これは完全な矛盾と欺瞞である。
 現地での状況は前述の通り、最初から代執行実施中なので入口を封鎖している、と都職員自ら言ったことだけでも、代執行が実施されていたことは明白である。また、囲繞地通行権がある通路を強制封鎖すること自体、代執行実施の一環であることは言うまでもない。さらに、途中から正面入口でなら「証票」を提示すると代執行責任者が言い出したのは、何故か。代執行を実施していないのなら、何のために「証票」を提示する必要があるのか。
 このような、行政官にあるまじき悪質で明白な法律違反に基づく代執行は、このことでも違法・無効である。

(2) 明渡し要求の権限なく強制退去をさせた違法性(行政代執行法第2条違反)
行政代執行ができるのは、「他人が代わってなすことのできる行為に限る。」と定められている。これは物質・物理的範囲のことを意味するのであって、人の意思や行為や身体の自由等を強制的に左右することを除外しているのは明白である。
 しかるに代執行責任者は、私たちに対してトラスト地からの退去を繰り返し要求し、私たちが10月11日に代執行責任者にはその権限がない旨の申入書を手渡したにも拘わらず、東京都の職員と雇いのガードマンを使って、私たちトラストの権利者を強制的に退去させた。
 このような、法律根拠を有しない勝手な暴力的権力行使を、絶対に認めることはできない。このことからも、この代執行は違法であり、全てを原状に戻すべきである。石原知事の重大な犯罪的人権侵害の責任を問うものである。

3 石原知事の横暴な言動に抗議する
 貴職は度々にわたって記者会見で、私たち「日の出の森・トラスト運動」とその2800人余りの権利者を、口汚く誹謗・中傷し、この問題の真相や本質等を公正に調査し吟味することなく、稀に見る権力者的・非民主的な態度に終始しております。 私たちは、過去何回も何回も処分組合へ問題を提起し、よりよい解決のための話し合いを求めたり、時には何回か話し合いのための予備交渉等もしてきましたが、処分組合は話し合いの条件を不可能な形でしか提示せず、結局話し合いには応じなかったのです。
 また、前東京都知事にも再三再四会見を要請してきましたがこれも完全に拒絶されたままでした。
 そして今回、貴職が行政代執行の決定をされる前後から今日まで、私たちが必死の思いで話し合いを求め、代執行の一連の問題性について訴えてきたわけですが、これもことごとく無視・拒絶されました。その過程において、貴職は正確な事実も把握せずに、一方的に私たちを侮蔑したり無視したりしてきたのです。
 私たちは、貴職のこのような無責任で尊大な対応に我慢できません。重ねて強く抗議するものであります。そして、貴職が都知事として謙虚に考え直し、責任ある姿勢で今続行中の代執行の中止を指示し、最低限でも上記のような法律違反を解消し、現地を違法代執行以前の状態に戻させることを要求するものです。