10月11日のレポートはここ

 10月10日、火曜日、午前9時前。
 日の出の森・トラスト共有地で、東京都による「代執行宣言」が行われました。都行政側は、職員、機動隊、警備員など約600人を配置するという、ものものしい雰囲気の中で拡声器を使い、一方的に宣言を敢行。同時に、馬引沢峠からのトラスト共有地への入り口も閉鎖されました。


●話し合いにの申入れに回答もしない東京都

 昨晩から泊り込んでいた人たち、早朝に到着した人たち。今朝のトラスト共有地には、約200人が集まり、私たちは、都行政側に対して、「代執行を認めない宣言を返しました。あくまでも、話し合いの場を求めたい、その考えを示したのです。
 しかし、都行政側は、「占拠している土地は処分組合の所有地」、「危険ですから処分場の外に退去してください」などの横断幕を広げ、ただ退去通告を続けるだけでした。

 私たちはそれに対し、さらに何度も、「話し合いに応じて欲しい」、「力づくでは解決しない」と訴えました。しばらく向き合う形になりましたが、都行政側はこちらからの要請に応じるどころか回答すらぜず、弁護士がきちんと名乗って、「行政代執行の違法性を説明しますから聞いて下さい」と呼びかけた時には、全員私たちに背を向けて、引き上げていってしまうという、呆れ返るような有様でした。


●行政代執行法無視の蛮行

一方、馬引沢峠には、入口を閉鎖され、トラスト共有地に入ることのできない数十名の人たちがいました。共有地内にいた弁護士と20名ほどの仲間たちが、中に入れてくれるよう交渉にいきましたが、まったく取り合ってもらえません。それどころか、担当者は名前すら名乗りません。しかも、本来、代執行が行われる場合、する側は、行政代執行法に基づいて、証票を携帯し、提示することが義務づけられているのに、それもしない。これは明らかに違法な行為です。

 トラスト共有地では、ブルドーザーが動き始める中で、私たちは、何度もその証票の提示を求めました。しかし、都行政側は、一貫してそのことに答えを出さず、退去を要求するのみでした。証票の提示もない代執行こそ法律違反ではないか。そう何度も何度も問い続けた私たちに、やっと都行政側が出した言葉は、「そんな必要はない」。

 都行政側は、さすがに失言だったと感じたのか、今度は「提示するので、正面ゲートまで来るように」と言い直しました。しかし、それは、都行政側が、私たちにしかけたトリックのようでした。なぜなら、正面ゲートに出てしまったら、戻ってこられない。私たちは、馬引沢峠の入口の閉鎖によって、一度トラスト地を出たら、もう入ってくることはできないのです。100 mも離れていないところで向き合っている私たちに、なぜその場で証票を提示できないのでしょうか。結局、東京都は最後まで証票を提示しませんでした。


●力ずくの作業でのとり付け道路工事

 その後私たちは、目の前まで迫ってくるショベルカーやブルドーザーの力ずくのやり方に、ことばでは表現しきれないほどの怒りや悲しみを感じながら、シュプレヒコールの声をあげました。おそらく私たちの声は重機のごう音にかき消されもしたでしょう。けれどもどんなに静かな状況の中で、どんなに心を込めて思いを伝えようと、おそらく行政側にはそれを受け止めるだけの力も心もない。ならばせめて、東京都のみなさん、全国のみなさんに私たちの思いが伝わるように、そう深く願いました。(K.M.&K.S)